Column

コラム

  • 二瀬整形
  • 埋没法
  • トラブル対策

埋没法でよくあるトラブルと対策 ― 糸と組織の相互作用を理解する

二重まぶた埋没法は、美容外科手術の中でも最もポピュラーで、ダウンタイムも短いため人気があります。しかし「切らない手術」であるがゆえに、一定の頻度でトラブルが発生します。以下では、臨床で遭遇しやすい代表的な問題と、そのメカニズム・対策について解説します。

1.ラインが取れる(消失・不安定化)

原因

ループを小さめに設定し、糸の摩擦力を高める

糸が皮膚や瞼板に十分に固定されていない

結び目の緩み

眼窩脂肪の量が多く、糸にかかる力が分散してしまう
対策

瞼板法では瞼板前組織をしっかり把持し、腱膜と皮膚を連結させる工夫が必要

眼窩脂肪が多い症例では、埋没法単独でなく部分切開法を検討

2.ラインが不自然・左右差が強調される

原因

再施術の際は「同じラインをそのままなぞる」のではなく、瘢痕や組織差を踏まえて新たにデザインし直す

糸の通し位置の左右差

挙筋腱膜や皮膚の厚みの非対称性

術前のシミュレーション不足
対策

デザイン時に開瞼時の瞼縁位置や皮膚厚を左右で比較し、補正した位置に設定する

微細な非対称には「2点法と3点法の組み合わせ」など術式の工夫を行う

3.糸の露出・異物感

原因

感染兆候がある場合は早期に抗菌薬投与・抜糸を検討

皮膚が薄い患者に太めの糸を使用

結び目が浅層に位置している

感染後に組織が菲薄化し、糸が透けて見える
対策

皮膚が薄い患者では細い糸を使用、または結び目を深めに埋入

異物感が強い場合は糸を抜去し、瘢痕が落ち着いた後に再手術

4.腫れ・内出血が長引く

原因

術後は冷却と安静を徹底指導

術中の止血不十分

糸のテンションが強すぎる

繰り返しの穿刺による組織損傷
対策

極細針を用い、出血点は必ず電気凝固で止血

糸の締め付けは強すぎず、自然に折れ込む力学を利用

まとめ

埋没法は「簡単そうに見える手術」ですが、実際には糸と組織の相互作用を深く理解しなければ安定した結果は得られません。特にトラブルの多くは「術前のデザイン・組織評価」と「糸の選択・走行」が不十分なことに起因します。患者にとっては軽い施術でも、術者にとっては高度なバランス感覚と経験が求められる――これが埋没法の奥深さです。